2020/7/9 経営用語 (アンゾフの)多角化戦略/集中戦略 strategy for diversification/focus strategy
2020/7/9 経営用語 (アンゾフの)多角化戦略/集中戦略 strategy for diversification/focus strategy
企業の経営資源を新たな製品・市場に展開することで成長を図る経営戦略である。
その背景には現在行っている業務を単純拡大するより、多角化を行った方が多くの利益が上げられ、且つ実現性が高いと判断された事情がある場合が多いが、必ずそうであると一概には言えない。
集中戦略はその逆で、経営資源をある特定の製品・市場に集中させることでコスト削減、効率化、差別化を図る経営戦略である。
ロシア人経営学者のイゴール・アンゾフが「製品ー市場マトリックス」(成長マトリックス)を提唱した。
製品
現在 将来
現在 市場への浸透 | 製品開発
市場 ----------------------------------|--------------------------
将来 市場の開拓 | 多角化
更に
新製品
技術関連性あり 技術関連性なし
同領域 水平型多角化
新 自社が顧客 垂直型多角化
市 類似領域 集中型多角化
場 新領域 集成型多角化
水平型多角化:現在の顧客と類似の顧客(市場)を対象に新製品を出す。
垂直型多角化:川上・川下を垂直統合する。川上への多角化は後方的多角化と言い、川下への多角化は前方的多角化と言う。
集中型多角化:現在の製品・技術、またはマーケティングと関係のある新市場に新製品を出す。
集成型多角化(コングロマリット型多角化):製品も技術もマーケティングも関係のない市場に新製品を出す。
多角化のメリット:
1.リスクの分散(柱を多数持つ)
2.シナジー効果の獲得
①販売シナジー:流通経路や販売組織などの共用
③投資シナジー:原材料の共同在庫、機材や施設の共用、研究開発成果の転用
④マネジメントシナジー:経営陣の能力や経験の移転、現場ノウハウの転用
3.範囲の経済性の獲得
①余剰資源(土地など、ある程度まで分割できない資源がある)と副産物の有効利用
②ブランド効果
4.プロダクトライフサイクルへの対応が可能(製品には開発期→導入期→成長期→成熟期→衰退期のようなライフサイクルを持つ。多角化することで、一つの製品が衰退期に入ったり、まだ開発期であったりとしても、他の製品が成長期/成熟期に入っていれば企業全体の売上が安定する)
多角化のデメリット:
1.コストがかかる(新規事業立ち上げを意味するので、初期投資が必要)
2.経営が非効率になりやすい(シナジー効果や範囲の経済性が上手く得られなかった場合、発注コストの高騰や経営資源の重複などが起きやすい)
多角化成功例:
1.セブンイレブンはお売りからメーカーへ
2.ソニーは家電から金融事業へ
3.オリックスは機械設備のリースから金融事業へ
4.ヤマハは楽器メーカーからたくさんの事業へ(AV機器開発、英語教室、リゾート開発)
参考文献:
1.https://www.nri.com/jp/knowledge/glossary/lst/a/anzohu
2.https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%9A%E8%A7%92%E5%8C%96
3.https://the-owner.jp/archives/963
4.https://keiei-manabu.com/strategy/diversification-strategy.html